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■ モルモットの乳ガン

モルモットにも乳ガンが発生することがあります。

モルモットはオス・メスともに後ろ足の付け根に1対の乳頭があり、
メスでは、その周辺に乳腺があります。

そして、注意しなければならないのは、特に「オス」のモルモットに
乳ガンが発生しやすい
ことが判っています。
当院で過去に、オスのモルモットで乳頭の付近で見られた
「しこり」は全て、病理検査で乳ガンであることが判りました。

乳ガンは転移し、最終的には命を奪ってしまうこともある腫瘍ですので、
見付け次第、外科手的に切除してしまうことが必要です。
(お薬では治すことができません)

初期の症状はありません。
注意深く乳頭周辺を触ってみて、
シコリがあるかもしれませんが、初期は大変気づきづらいです。
乳頭をつまむと、分泌液が出ることがあります。
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しかし、ほとんど症状が出ないため、
また、あまりモルモットをひっくり返して、見ないため
気づいたときには、とても大きくなっていることが多くあります。
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早い個体で、2歳くらいから、オス、メス問わず発生しやすくなりますので、
モルモットを飼われている方は、よく乳頭付近を観察、また触ってチェックすることが必要でしょう。
心配であれば、まずは動物病院で診察の際に、チェックしてもらうようにしましょう。
大きくなってからでは、手遅れになることもあります。
シコリを見つけたら、まずはモルモットの乳ガン治療の経験豊富な当院へご相談ください。


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■ フクロモモンガの体

体の特徴

大きく少し突出した眼をしています(写真)。夜行性であるフクロモモンガはわずかな光さえあれば見えるように、眼の中で光を反射するタペタムと呼ばれる層が存在しています。
ライトを当てると眼が光るのはこのためです。
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大きな耳をしており、わずかな音も聞き逃しません。
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嗅覚に優れています。鋭い嗅覚は匂い付け行動、食べ物探し、仲間の認識のために重要であり、
ほかの群れの個体の侵入、繁殖のタイミング、捕食動物の存在など、さまざまなものを鼻で感じ取っています。


ネズミの歯に似た鋭い切歯(前歯)をもっておりますが、
伸びることはなく、かけてしまったら元に戻ることはありません。

飛膜
樹木から樹木への移動時に滑空するために前肢小指から後肢親指、
尾の付け根から後肢小指にかけて伸びる膜をもっています(写真)。
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尻尾
体長と同じぐらいの長さをもつ尻尾は、滑空する際にラダー(舵(かじ))の役割を果たし、
方向をコントロールするのに役立っています。


前足の第4指はほかの指よりも長くなっており、木々の隙間から昆虫を引っ張り出すのに役立っています。
後ろ足は5本の指をもち、第2指と第3指は合わさっており、第1指と向かい合うようになっています。

臭腺
フクロモモンガには臭腺と呼ばれる匂いを分泌する場所があり、フクロモモンガの独特な匂いの出所です。
前額腺、胸腺、肛門腺、手足の表面、口の隅、外耳の内側などに存在します。
群れの中で優位な雄は額を群れの仲間に擦り付けて匂い付けをします。
このおでこにある前額腺は、雄では特に分泌された液体によりひし形状に脱毛し、雌雄の判別に役立ちます。
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フクロモモンガの臭腺は雄の額が有名ですが、胸にもあります。
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※麻酔下での撮影です


総排泄腔
フクロモモンガは、肛門、尿道、生殖器の出口が一つとなっており、これを総排泄腔と呼びます。

繁殖
野生のフクロモモンガは季節繁殖動物で、オーストラリアでは6~11月に繁殖期を迎えます。
子どもが産まれる頃は昆虫の多い時期にあたります。発情は29日周期で起こり、発情期間は2日です。
飼育下では周年繁殖が可能です。
 雄のペニスはYの字型をしており(写真)、興奮すると出ることがあります。
Yの字の先端からは精子が、分岐部からは尿が出ます。これと合うように雌の腟(ちつ)もYの字型になっています。
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陰嚢(のう)は総排泄腔前方の腹部にぶら下がるように存在しています。
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※全身麻酔下での撮影です

1回の妊娠で大体2匹身ごもり、15~17日で出産をします。
雌は育児嚢(写真)と呼ばれる生まれたばかりの子どもを育てる袋をもっています。
生まれた子どもは体長約5mmで、陰部から育児嚢に移動します。
育児嚢の中には乳首が4つあり、この中で授乳をし、成長した後、生後約70~74日で育児嚢から出てきます。
100~120日後には離乳をします。性成熟は雄で12~15カ月、雌で8~12カ月です。
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■ フクロモモンガの生態と食餌

近年、フクロモモンガを取り扱うペットショップが増えてきました。フクロモモンガは、
日本にいる野生のモモンガとは異なる有袋類です。
しかしながら、その生態をよく知らないまま飼いはじめ、
正しい食餌を与えないことで、フクロモモンガが体調を崩してしまうこともあります。
まずは、正しい食餌を食べるように飼育することが最も大切です。



分類と生態
 フクロモモンガは、哺乳網、獣亜網、カンガルー目、フクロモモンガ上科、
フクロモモンガ科、フクロモモンガ属に属しています。
野生ではオーストラリア北部から南東部、ニューギニア島、ビスマルク諸島といった温暖な森林や熱帯多雨林に住んでいます。

生態
主に樹上で生活をしており、地面に降りることはほとんどありません。
通常は樹洞を住処(すみか)としています。
木から木への移動の際には、英名(Sugar Glider)の由来にもなっているように、
グライダーのように滑空します。飛行距離は最長50mともいわれています。

フクロモモンガは夜行性であり、夜間は食べ物を探しに活動し、
昼は巣に戻り群れの仲間とともに寝ています。
群れの仲間は大体6~10匹ほどの小さな群れで、
群れの中でのひどい闘争は起こらないといわれています。
しかし、群れと群れの間では縄張り争いが繰り広げられることはあります。
社会性の高い動物で、匂い付けや鳴き声で仲間同士のコミュニケーションをとります。
気候が暑過ぎたり、寒過ぎたりするとエネルギー消費量を抑えるために、
1日に16時間も休眠することもあります。

寿命は野生下では5~7年、飼育下では12~15年といわれています。
体長は12.7~15.2cm、体重は雄では100~160g、雌では80~130gほどです。

食餌
食性フクロモモンガは昆虫食傾向の強い雑食性の動物です。
不明な点も多く、栄養学的な研究は進んでいません。
野生下の餌は、ユーカリやアカシアの木の樹液や樹脂、花蜜や花粉、糖蜜、
さまざまな昆虫やクモ類、鳥の卵、小さな鳥や齧歯(げっし)目、トカゲなどです。
これらから、現在は動物質と植物質を同量程度摂取していると考えられています。
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<飼育下では必ずしも昆虫を与える必要はないが、与えると喜んで捕えて食べる。
 バランスを考え、モモンガフードをしっかり食べるように飼育したい>



また、野生では春から夏には昆虫類を中心に食し、
秋から冬にはユーカリやアカシアの木の樹液や樹脂、
花の蜜、それを狙ってやってくる昆虫を食すなど、
季節により食べるものが大きく変わるという特徴をもっています。

フクロモモンガは食べ物の選り好みが激しく、
偏食となり、必要な栄養素をとれず病気となることも多いので注意が必要です。
また、野生のフクロモモンガでは1日に43~55kcalで
体重の17%に当たるエネルギーを消費していると考えられています。
しかし飼育下では、野生に比べると運動量が制限されている分、消費量も少なくなります。
さらに、飼育環境で与えられる食餌は吸収の良いものが多いため、
飼育下のフクロモモンガは比較的肥満になりやすいです。
これらの理由から、野生と比べて与える食餌は少量にすべきであると考えられています。肥満の母親から生まれた子どもは若齢性の白内障になるということも知られています。

動物性タンパク質の供給源として、市販のフクロモモンガフードを与えると良いでしょう。
野生下ではさまざまな種類の小動物を食すことで、栄養を摂取しています。
フクロモモンガフードはそういった栄養素の偏りが比較的少ないものとなるために勧められます。
しかし、上記のようにフクロモモンガの正確な食性はわかっていないため、
フクロモモンガフードだけで育てるのではなく、ほかの食餌も与えるようにしましょう。

フクロモモンガフードが手に入らなければ、
フェレットフード、ドッグフード、キャットフードなどでも代用が可能です。
ほかにもコオロギ、ミルワームなどの昆虫、鶏肉、ゆで卵なども給餌できます。
生きた昆虫類を与える際には必ず昆虫自身に餌を与えるなどして、栄養状態を良くした状態で与えましょう。
 炭水化物の供給源としては、樹液や果汁などが必要です。
新鮮な果汁、メープルシロップ、はちみつなどや花蜜用鳥のフードであるローリー用のネクターなどが挙げられます。
 ほかにも果物、野菜、ナッツ、種子(ヒマワリ、カボチャ)などのさまざまな餌を食べますが、
これらは野生での主要な食餌ではないので、与える食餌の10%以下にするべきです。
果物を適切なタンパク質やカルシウムによって骨粗鬆症や歯周病に罹患しやすくなるといわれています。

フクロモモンガは昆虫などの内容物を食べ、硬い部分を捨てるといった
、少し特徴的な食べ方をします。そのため、
食器の周りは食べかすで汚れてしまいますが、それは正常な行動です。

ケージ全体が汚れるのを防ぐ目的で、餌場全体をフクロモモンガが出入りできる穴を開けたプラスチックケースで覆うものを海外ではグライダーキッチンと呼んでいます。夜行性の動物であるため、食餌は夕方から夜にかけて与えると良いでしょう。
飼育温度は24~27℃が推奨されています。

鳴き声
 フクロモモンガは感情によってさまざまな鳴き声があります。
嬉しいときは「プププ」と聞こえる鳴き方をします。
驚いたときや怖がっているときは、警戒音、威嚇音として
「ギーコギーコ」「ジーコジーコ」といった鳴き方をします。
この鳴き声をあげているときには、後ろ足で立ち上がり、前足を広げるようにして、
口を開けていることが多いです。
また、仰向けになって四肢を突き出すようにしている場合もあります。
イライラしているときや何か不満があるときは「シューシュー」と鳴きます。
ほかの個体を探しているときには子犬のような鳴き声で
「ワンワン」「アンアン」と鳴きます。これは繁殖期にもよく聞かれる鳴き声です。

■ ウサギの胃腸疾患(毛球症・胃腸うっ滞・盲腸便秘・鼓腸症・急性胃拡張)

うさぎさんのよくある病気に胃腸疾患があります。
来院するうさぎさんの約半数近くが、この病気で来院します。

うさぎさんは、複雑な胃腸のシステムを持っています。
その、システムのバランスが崩れたときに、この病気になります。
かつては、毛球症とひとくくりにされていましたが、
必ずしも、お腹のなかに停滞した「毛」だけが原因ではありません。

毛が溜まっている、という状態はすぐには判りませんので、それらを
まとめて、獣医学的に胃腸うっ滞と言ったり、鼓腸症と言ったりして先生によって違います。
あまり病名にこだわる必要はありません。(あまり意味が無いからです)


お腹の中を見るための、レントゲンの勉強をしてみましょう。

ふつうは、麻酔をしないで、うさぎさんを軽く押さえて写真下のように撮影します。カシャ♪



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イラストです。
臓器の位置関係はこんな感じです。

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現像をしますと、こんな風に写ってきます。
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これは、正常な個体のレントゲン写真です。
これでは、あまりはっきりしていませんね。
はっきり判らないのが正常なのです。


では、次ぎ。正常なうさちゃんに
バリウムというレントゲンに白く写る液体を飲ませたレントゲン写真です。
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胃から盲腸にバリウムが流れ込み、盲腸から直腸かけて大きなウンチが並んで
ウンチが出そうな状態になっているのが判ります。
これは健康で正常です。

では、これはいかがでしょう?
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胃や盲腸に多量のバリウムが溜まり気味で、ウンチもゴマ粒のように小さいのがわかります。
これは、胃腸うっ滞、盲腸便秘、と呼ばれる状態です。
こうなってしまうと、食欲も少なく、ウンチも小さいです。

では、これはどうでしょうか?
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なにやら、胃と盲腸の部分が黒くなっていますね。
黒い部分は、ガスが溜まっているのです。
異常な発酵を起こしていることが判ります。これでは、餌は食べないです。
慢性的な状態(鼓腸症)のことが多いです。

最後にこの写真。
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胃の部分が大きくなっており、真ん中が黒く抜けているのが判りますか?
これは、「急性胃拡張」という状態です。
うさぎさんはある時、とつぜん餌を食べるのをやめ、ジッと伏せて動かなくなります。
拡張した胃のため、激しい痛みに襲われており、緊急性の高い状態です。
適切な治療を行ったとしても数時間~数日で死亡することもある怖い病気です。
早めの受診が必要です。

治療には鎮痛剤の投与や体液組成の調節が必要です。
以上、ざっとうさぎさんの胃腸のレントゲン写真を説明しました。
動物病院で説明を受けるときの参考にしてください。


うさぎの消化器官は繊細です。
ストレスが強くかかったり、想定外の食べ物が入ると、
とたんに異常な発酵、機能不全になります。

うさぎを健康に飼うことは、すなわち、健康な消化器官を保つこと。
予防は、簡単なようで難しく、
なるべくストレスをかけず、良質の牧草を多く食べてもらうこと、良質ペレットを与えることです。
遠くに連れ回したり、クッキーなどのおやつ類はあまり与えないようにします。

これが、全てといっても過言ではありません。

ジャンル : ペット

テーマ : うさぎ

■ チンチラの病気

実際に生じるチンチラの一般的な疾患の多くは、飼育管理に起因しています。
そのため、病気の予防には日ごろから正しい飼育環境の整備や正しい食餌が必要になります。
チンチラはその野生の中で生き抜く生存機構の一つとして、体調不良の姿をなるべく見せないようにする性質があります。
したがって病院を訪れたときには重篤な状態になっていることも少なくありません。
今回紹介するチンチラの病気は、比較的よく遭遇する疾患やチンチラ特有の病気を中心に紹介します。




■歯の疾患
チンチラの歯は、常生歯で歯根が開放しており一生伸び続けます。だいたい1年に約5~7センチの速さで伸びます。チンチラの歯は黄色いのが正常であり,逆に白い歯はビタミンA欠乏が疑われます。他のげっ歯類と同じように、不正咬合や根尖膿瘍などの歯科疾患も比較的遭遇する機会の多い病気です。歯科疾患は、飼い主さんが症状に気づいて病院を訪れる際には、すでに病状が進行していることが多いです。繊維の少ない食事を与えていることが大きな原因です。物理的な力によって切歯の向きが変わってしまってもこの病気は引き起こされます。

◆不正咬合
【原因】
チンチラの歯科疾患としては不正校合がもっとも多く,切歯(前歯)にも臼歯(奥歯)にも起こります。
臼歯の不正咬合に続いて切歯の過長が現れます。
下顎臼歯は内側に伸長し、舌の動きを制限したり潰瘍を引き起こします。上顎臼歯は外側へ伸長し、頬の粘膜を傷つけます。
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上顎臼歯が外側に伸び、頬粘膜に潰瘍を形成している。
食餌中の繊維質の不足や遺伝的要因が主な原因とされています。また、甘い物を多く与える虫歯(蝕歯)になることもあります。
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切歯の蝕歯。これから不正咬合に移行する。

【症状】
口腔内の違和感、痛みから食欲不振、ヨダレを流すことがみられます。
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不正咬合によりヨダレを流している
また上顎臼歯の歯根が眼裔に向かって伸びるため涙が出るケースもしばしばあります。また下顎臼歯の歯根が下に向かって伸び、下顎骨に凹凸が触知されることもあります。本症が進むにつれて食物を選り好みするようになったり、柔らかいものを好んで食べるようになることもあります。
さらに膿瘍(下に記載あり)といって歯根部が感染を起すことにより膿が溜まり、腫れてくることもあります。

【治療】
切歯であれば、切歯の切断を行い、臼歯に異常が見られる場合では、麻酔をかけ削る必要があります。その後、食物繊維を多く含んだ食餌管理を行います。しかし、その処置を行ったところで、根治は難しく、定期的な口腔内の観察、歯の処置が必要です。



■消化器の疾患
消化器の疾患は、草食性であるウサギと同じくチンチラの病気の中でも、症例数の多い病気の一つです。腸内醗酵を行うため、消化器疾患の多くが給餌の内容や管理に起因します。急激な食事内容の変更や、粗悪な飼料の給餌などに充分注意しなければいけません。
また、ウサギやハムスターでも起こる、不適切な抗生物質の投与による腸性毒素血症にも注意が必要です。

◆鼓腸症
【原因】
急激な食事内容の変更や水分のたくさん含んだ野菜や果物、マメ科植物を多く与えたときに起こしやすいようです、胃内容のうっ滞と細菌叢による発酵によって胃内にガスが異常に貯留することにより生じます。
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胃内にバリウムの停滞がみられ、消化管全体にわたりガスの貯留が見られる。
また胃内のある種の細菌の欠如によってもひきおこされることが知られており、人口哺乳で育った個体や、老齢個体に多くみられます。

【症状】
症状としては、食欲不振、流涎、沈鬱、痛みによって転げ回ったり、背彎姿勢などがみられます。また嘔吐ができないことによって呼吸困難の状態に陥ってしまうこともあります。

【治療】
初期の場合であれば、適度な運動や腹部のマッサージも効果的であるとされています。消化管の運動を促進する薬や流動パラフィン等を経口投与し、胃内容の通過を助けます。
しかし急性で命に関わる状態であれば、胃チューブの挿入や針などで胃から貯留したガスを抜きを行うことがあります。

◆便秘
【原因】
便秘はさまざまな要因によって起きます。チンチラの場合下痢よりもむしろ、この便秘に遭遇するケースが多いようです。食物中の繊維が不足している高エネルギー、高タンパク質の濃厚飼料の給餌が原因となっていることも多いようです。また、ストレスや運動不足が要因となっていることもあります。

【症状】
普段より明らかに糞の量が少なくなります。通常、チンチラの糞は、無臭で大きめの米粒大です。色は褐色か黒で、排泄直後は柔らかく、便秘をしているチンチラでは、糞は固く細く小さくなります。触診では、腹部に硬い糞塊を触診できることもあり、進行すると後肢の不協調または麻痺がみられることがあります。

【治療】
基本的には繊維を増やすという意味で、少量のリンゴ、レタス、人参、タンポポなどを与えます。改善されない場合は、緩下剤を用いたり、流動パラフィン等を経口投与します。また予防的に、毎日の食餌に乾草を多く与え運動量を増やすことも有効です。

◆腸重責・腸捻転
【原因】
これらの病気は他の消化器異常に続発しておこることが多く、盲腸曲での捻転、重責が多くみられます。またそのほかの消化器疾患と同様に、食物中の繊維不足が関与していると思われます。

【症状】
激しい腹痛を呈し、便秘や肛門からの腸管の脱出をみることもあります。元気消失、食欲廃絶を呈して、鼓腸やショックを引き起こし死に至ることもあります。腸重責は腹部の触診によって、重責部分の腸を触知できることがあります。

【治療】
外科的処置、支持療法を的確、迅速に行う必要があります。点滴、鎮痛剤、ステロイド剤の投与を行いますが、予後の悪いことが多いようです。



■皮膚疾患
チンチラの被毛は毛皮になるほど美しく繊細で、一つの毛根から80~100本の細毛が密生しています。また皮脂腺から分泌されるラノリという脂質は被毛に潤いを与え、チンチラが砂浴びを行うことによって、被毛を清潔に保ち、過剰な皮脂を落とします。この被毛は、生息環境の低い気温によって育毛が促されます。感染性の皮膚病では、その生態によるものなのか細菌感染は少なく、糸状菌症が多いことが特徴的です。そのほか、飼育管理に起因するもの、栄養の問題に関連した疾患が多く知られています。

◆皮膚糸状菌症
【原因】
白癬菌(Trichophyton属)、少胞子菌(Microsporum属)の感染によって引き起こされる皮膚病で、幼若な個体や免疫力の低下している個体に発症しやすいといわれています。高温、多湿、不衛生な環境やストレスがなどが発症要因として考えられています。

【症状】
頭部、顔面、鼻や目の周囲、四肢など脱毛、赤斑、フケがみられます。かゆみは伴わないケースが多いようです。

【治療】
抗真菌剤の経口投与を行います。場合によっては、局所的に抗真菌剤の塗布を行います。また砂浴びは、真菌の拡散を助長してしまう恐れがあるため、砂を頻回に取り替えたり、しばらく砂浴びを禁止する場合もあります。
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広範囲の脱毛

◆膿瘍
【原因】
切歯・臼歯の不正咬合は、歯は口の中に向かって伸びるだけでなく、歯の根が上顎や下顎に向かっても伸びてしまいます。反対向きに(下顎骨や目の方に向かって)伸びてしまった歯はそこで感染・炎症を起こし、膿瘍(膿の入った袋)を作ります。
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下顎臼歯の歯根部より感染を起し、膿瘍を形成している

【症状】
膿は時間がたつとチーズ状に固くなってしまうため、見た目には、デキモノのように見えます(写真)。上顎に膿瘍が出来てしまった場合、チーズ状に固くなった膿が眼球を押し出し、出目金のようになってしまうことがあります。

【治療】
治療は、異常な歯を抜くこともありますが、チンチラの顎骨は非常にもろく、抜くときに骨折を起こしやすいことや、犬・猫よりも血管の分布が豊富なために出血が多い、歯を抜いた穴から感染を起こしやすい、痛みから結局食餌がとれないなどの欠点があるため、治療の選択が限られます。 基本的には膿瘍を摘出したり、切開・洗浄と抗生物質の投与を中心とした治療が行われます。
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全身麻酔下で切開し膿を出しているところ。
しかし完治するには長期間に渡ることもあり、また膿の貯留を繰り返してしまうこともあるとても大変な病気です。

◆綿毛(コットンファー)
【原因】
栄養素欠乏症としていくつかの皮膚疾患が知られています。綿毛(コットンファー)と呼ばれる高タンパク食よって引き起こされます。

【症状】
被毛の筋が弱くなり、被毛全体がウェーブがかり綿のような様相を呈します。

【治療】
タンパク質の含有率が15~18%の飼料を与えるようにします。

◆肢端皮膚炎
【原因】
飼育環境の不備(メッシュの固い床、高温、多湿、不衛生な環境)から肉球の損傷がみられ、細菌の感染によって発赤、びらん、潰瘍が続発します。チンチラは主に後肢を使って移動するので、前肢ではあまりみられません。

【症状】
足底部に発赤、びらん、潰瘍などがみられます。その痛みから「はこう」や運動を嫌がるようになります。感染が成立すると、膿瘍を形成したり壊死、骨膜の融解につながってしまうこともあります。

【治療】
抗生物質、局部の消毒、患部の保護、乾燥につとめるようにします。もっとも重要なことは、飼育環境を見直し、発症要因の改善することです。



■熱射病
【原因】
チンチラは涼しい地域に生息しているので、27℃以上の高温、高湿の環境下ではうまく体温を調節することができません。すぐに元気を失ってしまいます。またそれ以上の高温な環境下にすると容易に熱射病に罹患してしまいます。したがって、蒸し暑い部屋に置いたり、直射日光に当たるような場所には置いては決していけません。

【症状】
初期には活動性が鈍り、渇欲が亢進します。症状が悪化すると横たわる姿を見せ浅速呼吸になり呼吸困難、チアノーゼを呈します。

【治療】
空調などを利用して徐々に体温を下げていきます。冷水に入れるとショックを起こすことがあるので注意が必要です。すずしくしてすぐに動物病院へ連れて行きましょう。病院では点滴、ステロイド薬投与など支持療法を行います。

ジャンル : ペット

テーマ : チンチラ

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