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■ カメの病気・2

カメに発生する病気のほとんどは、飼育環境の不備や単に飼い主さんの勘違いなどに起因している場合が多くあります。爬虫類の代謝は、哺乳類と異なりとてもゆっくりとしているので、病気の発症の過程も急性のものは少なく、徐々に悪くなってくるものが少なくありません。ここではカメに比較的よくみられる特徴的な病気をいくつか挙げておきます。



●尿結石
尿酸を排泄するリクガメに多くみられます。本来低蛋白質の食餌をしている尿酸排泄タイプのカメに高蛋白な餌を与えることによって、尿酸の排泄が増加します。また体内の水分が不足すると膀胱で水の再吸収が引き起こされ、膀胱内の尿酸の濃度が高まり、尿酸の結晶が促進され、結石を作りやすくなります。

◎症状
尿結石は、膀胱内や総排泄口あたりに形成されます。ロシアリクガメやケヅメリクガメなどのリクガメに多く見られます。小さな結石では症状を見せませんが、臓器を圧迫するような大きさになってしまったり、総排泄腔に詰ってしまうと排便、排尿が出来なくなるので、いきみや食欲不振の症状を示します。

◎治療
総排泄口に詰まってしまった場合には、外部から削ったり砕いたりして除去します。場合によっては甲羅を開けて結石を取り出す処置が必要となることもあります。
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ケヅメリクガメの膀胱結石(レントゲン写真)

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●卵詰まり
性成熟年齢に達すると、例え飼育環境下にオスの存在が無くとも、メスは無性卵を持つことがあります。そして、卵を産む場所が確保されていない、栄養状態が悪い、カルシウムの不足、卵が異常に大きくなってしまった、などの原因から正常に産卵できず、体内に停滞してしまう状態を指します。

◎症状
食欲低下、便秘などから激しく力むような仕草をしきりにしたり、よく眠るようになるなど、様々な症状が見られます。したがって、メス個体で、体調不良の時には、レントゲン検査などを行い、卵によるものなのか原因を特定しなければいけません。

◎治療
上記のような症状が見られるのであれば、動物病院にてレントゲン検査を受け、卵がちゃんと産める大きさなのか、全身の状態を血液検査などで調べ、摘出する必要があるかどうか特定しなければなりません。そして、総排泄口から掻きだしたり、場合によっては開腹手術を行わなければいけません。
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卵が詰まってしまったクモノスリクガメ(レントゲン写真)

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●ビタミンA欠乏症
ビタミンAが欠乏することによって粘膜の分泌腺の構造が変性する結果、眼瞼の腫れや鼻炎などを引き起こします。原因としてビタミンAの欠乏が挙げられますが、不均衡な給餌の結果引き起こされるものが多く、その他の栄養素も不足していることが考えられます。

◎症状
外観上、眼瞼が腫れて眼を開けられなくなっている状態が多いのですが、同じ様な症状を呈していても、角膜炎や衰弱などから引き起こされることもあり、獣医師に見せたほうがよいでしょう。

◎治療
雑食性のカメには動物質のものから植物質までバランスよく餌を与えるか、専用の人工飼料を与えるようにします。また草食のカメでは色々な野菜を与えるようにします。直接ビタミンA剤を経口的に投与したり、注射をすることで多くは改善されますが、過剰投与はビタミンA過剰症を引き起こすので注意が必要です。
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●甲羅の損傷
何らかの外的な力が加わることによって甲羅が割れてしまうことがあります。
甲羅は、脊椎と一体となっており、血液も流れていますので、損傷すると出血も起こします。よくあるケースとして、ベランダから落下してしまった、犬に甲羅を咬まれてしまった、などです。カメは見かけによらず思いのほか脱走が上手な動物ですので、脱走対策には十分なほどの気配りをしましょう。甲羅が損傷してしまった状態では、内臓の損傷も同時に考えなければいけませんので、甲羅が割れてしまったときには、傷口が乾かないようにして、すぐに動物病院へ行きましょう。

◎症状
甲羅が割れていることにより確認します。

◎治療
甲羅の損傷と同時に、レントゲン検査などで肺、腎臓、肝臓など主要臓器にもダメージが及んでいないか判断します。傷口が汚れているようであれば、滅菌した生理食塩水などで十分に洗浄を行い、感染を起こさないように、抗生物質の投与を行います。甲羅の修復はグラスファイバーと樹脂を使って整復します。
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甲羅を損傷したクサガメ         甲羅の整復直後

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●ペニスの脱出
雄のカメでは総排泄口から出てしまったペニスが戻らなくなってしまうトラブルがよく起きます。冬眠からさめたばかりの個体や栄養状態の悪い個体でしばしばみられます。また過度の発情行動や他のカメによって咬まれてしまうことでも発症します。
正常な行動でもカメは時折ペニスを出しますが、飼い主さんが腸が出たと大慌てで病院に訪れることもあります。

◎症状
総排泄口よりペニスの脱出が見られ、戻しても元に戻らず、24時間以上経過した状態になります。

◎治療
初期であれば、優しく押し戻し、総排泄口に巾着縫合して収納します。また時間が経ってしまったり、損傷が激しい場合は外科的にペニスを切断します。カメの尿道は管状にはなっておらず、溝があるだけで、そこに精子が流れ伝わる構造なので切断しても問題ありません。しかし生殖能力はなくなってしまいます。 
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■ ミドリガメ、クサガメ、ゼニガメの飼い方 その2

ミドリガメ、クサガメの飼い方 ~実践編~

今回は、実際に小さな購入したてのミドリガメやクサガメから、大きく育ってしまった
大人のカメまで実際にどのように飼うのがよいか解説します。

●飼育容器
  水が漏れないものであれば何でも構いません。
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●食餌 
いわゆる、カメ用に作られた、粒の餌(ペレット)を主食に。
 これだけでも充分です。
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乾物系の餌(エビや糸ミミズブロック)はあくまでもおやつに。
主食にしてはいけません。これらを与えると、固形フードを食べなくなることがありますので注意。
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●水槽のセッティング
砂利を敷いて、傾斜を作り、陸と水場の部分作る方法です。
いかにもいい感じですが、汚れが蓄積しやすく、オススメしません。
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当院がオススメする飼育方法です。
これだと、水換え簡単で、食べ残しや糞の確認が容易です。
陸場は、カメが乗れる大きさで充分です。陸で歩きまわれるほどの広さは必要はありません。
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また、大人になったミドリガメはとても大きいので、普通に陸場を作ろうとすると、
巨大な石や岩が必要になり、管理が大変です。
また、泳ぐスペースも必要ですので、水量を増やすためにも、
「橋げた式」を推奨しています。
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橋げたには、ホームセンターなので、売られている、キッチン用の鍋置きとレンガで作成します。
橋げたの下は、カメさんの隠れ家にもなり、一石二長です。
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陸地の部分には、上から、クリップのついた電球を10~12時間ほど照射します。
カメさんは、そこに登って温まります。
冬になれば、水中ヒーターを入れて水温25℃にすれば、冬でも元気に飼育できます。



■ ミドリガメ、クサガメ、ゼニガメの飼い方

ミドリガメ、クサガメ、ゼニガメの飼い方 ★Part1★

~まずは知っておくべきこと~


このページでは、当院でカメの中でもっとも来院する件数の多いカメさん、すなわちミドリガメ、クサガメ、ゼニガメの飼い方を紹介します。
はじめに、これらのカメさんを飼育するにあたり、絶対に忘れてはいけないことをいくつか。

その1◆ 始めは小さくても大きくなります!
これらのカメさんは、大きくなると、甲羅が20センチにもなります。20センチって大きくないと思われるかもしれませんが、お家にある、お皿の直径を計ってみてください。大きなパスタ皿でも20センチ程度になります。したがって、大きなお皿くらいになると思えば大体の大きさは想像できます。
それなりの、設備が必要となりますので、それらを計画して飼育しましょう!

●こんなに小さなカワイイカメさんも、数年後には
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●こんなに大きくなります!忘れないでください
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◆その2◆ 基本的に水の中にいるカメさんです!
これらのカメさんは、元来、大きな池や川に住んでいる動物です。ですので、どこまでもスイスイ泳ぐことが大好きです。
しかし、水槽という限られた場所では、水槽越しにバタバタとしてしまいます。これは、仕方の無いことなのです。
しかし、飼育者の方の中には「溺れそう!」「水が嫌いで出たがっている!」「狭くて可哀想」と解釈して、いつやら、お部屋の中(お部屋の床)で飼う方がいます。
実は、これはカメさんにとって、非常に過酷な環境なのです。正常なら、甲羅はツルンとしていますが、部屋で放し飼いにしていると、デコボコの甲羅になったり、カサカサになったり、水分不足の環境で最後には腎不全で死んでしまいます!

●乾燥によって反ってしまった甲羅。なかなか治りません
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◆その3◆ 水は大好きだけど、必ず、甲羅干しできる陸地が必要ですよ~。
よくあるケースが、小さなカメさんの頃は、砂利や岩で陸地を作ってあげていたけれど、大きくなって、それに見合う陸場を作ってあげることが出来ず、ずーっと、水の中で過ごしているカメさんもいます。陸にあがって完全にからだを乾燥させないと、皮膚病になってしまいます。

●皮膚や甲羅が細菌やカビで白くなってしまう
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◆その4◆ カメさんは、寒くなると冬眠します。
ミドリガメやクサガメは、北半球のカメさんです。したがって、冬から春にかけては冬眠をします!この冬眠ということばの意味ですが、冬に代謝を最大限落として、眠る、ということです。
冬眠するには、凍らないレベルで充分に寒い環境と、甲羅の厚さ3倍以上の深さのある水が必要です!冬眠すると、ほとんど動かなくなります。
よくない飼い方の代表としてよくみられるケースでは、春から夏にかけては餌をバクバク食べていたのに、冬になり暖房の入るリビングに置いていて、動きが鈍くなって、食べなくなった。冬は冬眠だから食べなくて当たり前!というもの。

カメさん、冬のリビングでは、ゴソゴソ動いているけど、春まで餌を食べない。
これは、餓死ギリギリで耐えているだけの状態であり、冬眠とは異なります。冬眠は、あくまでも寒いところで眠っている状態です。冬眠状態でない餌を食べない状態は、飢餓であり、いずれ病気になってしまいます。一般に、冬眠テクニック難しいので、小さなカメさんやカメ飼育ビギナーの方は、冬眠をさせるのはやめて保温して飼ってあげましょう。

●冬場には、安価で取り扱いの簡単な水中ヒーターを使うと良いでしょう
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●不適切な給餌や冬が明けてによく起こる、ビタミンA欠乏で目が腫れて開かなくなる病気
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■ カメの病気・1

カメに発生する病気のほとんどは、飼育環境の不備や単に飼い主さんの勘違いなどに起因している場合が多くあります。爬虫類の代謝は、哺乳類と異なりとてもゆっくりとしているので、病気の発症の過程も急性のものは少なく、徐々に悪くなってくるものが少なくありません。気づいた時には、かなり重症になっていることもあります。日ごろから、変ったことがないか、注意して観察しておきましょう。そして、気になることがあれば、あまり様子を見ず、専門家や獣医師に相談しましょう。



●代謝性骨疾患(MBD)
カルシウム、リンなど骨や甲羅を形成するミネラルの過不足や、ビタミンD、紫外線などのカルシウム吸収に関わる要素の欠如、腎臓、上皮小体の疾患などによって引き起こされる骨の代謝異常の状態をいいます。
正常にカルシウム吸収が行われないと、血中カルシウム濃度が下がり、体内の骨や甲羅から破骨吸収がおこり、結果として骨の異常を引き起こします。

◎症状
上手く歩けなくなったり、甲羅が軟らかくなったり、甲羅の形成異常が起こりいびつな形のカメになってしまいます。
この病気は、ヌマガメ、リクガメに問わず発生します。

◎治療
治療には飼育環境と食餌に関する両面からの指導を行います。また、一度変形してしまった骨や甲羅は元の形に戻ることは困難です。極度に低カルシウム血症を起こしているときは、注射によってカルシウムやビタミンDを補う処置が必要となる場合があります。
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甲羅の変形をきたしたアカミミガメ

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●内部寄生虫
カメの便を調べるといろいろ寄生虫が発見できます。特に野生採集個体(WC)である場合は、数多くの寄生虫に感染しています。また、糞便に小さな白い便が温浴させた水の中や、糞便の上に白くて細い虫体を確認することができます。
多くは無症状のまま過ごす為、駆虫に関しては賛否両論いろいろな意見があります。しかしながら、平常時は問題なくとも、何か体調が崩れた時やストレス環境下に置かれたりすると、免疫力が低下し、一気に虫の数を増し、寄生虫による害を引き起こすことがしばしばあります。

◎症状
寄生虫感染症の症状は様々で、食欲不振、元気消失、痩せてくる、下痢、腸閉塞、貧血を呈すことがあります。

◎治療
内部寄生虫疾患の治療には、基本的に検便→虫の同定→駆虫薬の投与という段階を踏みます。内部寄生虫には、線虫類、条虫類、原虫類などがあり、虫が出たからといってむやみに市販のクスリを飲ませるのは避けなければなりません。無効な治療は、かえってカメに負担をかけてしまいます。爬虫類診療可能な動物病院にて検便を行い、内服薬の処方を受けましょう 。
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ヤマガメに見られた線虫             ロシアリクガメに見られたギョウ虫卵

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●膿瘍
外傷やダニの咬傷、不衛生な飼育環境から細菌感染を起こし、体表または体腔内に膿瘍を形成します。膿瘍とは、簡単にいうとばい菌によって生じる膿の塊のことです。
膿瘍の内容物は、哺乳動物のゲル状ではなくカメのそれはチーズ状のぱさぱさとした膿が特徴的です。

◎症状
体表に「こぶ」のような塊が出来ます。腫瘍のように見えることがあります。

◎治療
膿瘍を切開し内容物を完全に掻爬して、その後、消毒、抗生物質の投与などを行う必要があります。カメの中耳炎は特徴的で、膿が中耳に溜まることにより、中耳を覆う皮膚が突出します。
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チズガメの頚部にできた膿瘍

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●呼吸器疾患
カメは、いうまでもなく外気温動物で、自分の体温を自ら維持することができません。気候の変化や飼育環境の不備で、気温湿度の低下、ストレス、不衛生な環境などから鼻水をたらすことがしばしば見られます。カメは、呼吸器疾患には弱い一面があり、放っておくと死につながることもあります。鼻水などと甘く考えずに、早めに獣医師の診断を仰ぎます。

◎症状
初期の段階であれば、鼻水や目やになどが見られることがありますが、進行すると、頸を伸ばし、上を向いて口を開け呼吸するようになる、キューキューなどの呼吸音が激しくなる、食欲不振、元気消失などがみられます。

◎治療
軽いときであれば、飼育環境の見直し、湿度の調節などで治まることがありますが、重症になると抗生物質の投与、輸液などを行い二次感染、脱水、栄養補給などを行います。細菌やウイルス、真菌(カビ)などで引き起こされるのでそれに対応する集中的な治療が必要です。
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鼻水を垂らすケヅメリクガメ        肺炎のヘルマンリクガメ(レントゲン写真)
                     肺の後部にもやもやとした炎症が確認できる

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■ リクガメの飼育

リクガメの飼育は、古くからのマニアと呼ばれる人から若い女性まで、幅広い層でとても人気の高い爬虫類です。見た目にも丸い甲羅はとても可愛いらしく、またその多くが野菜を主体とした食餌で生餌などを必要としないことから、飼育しやすい爬虫類として認識されていることが多いようです。
しかしながら、実際リクガメは種類によって微妙な飼育環境、飼育設備、食餌を要求する飼育難易度の高い爬虫類です。リクガメは、多少不適切な環境でも順応して外見的には健康そうにみえることが多くありますが、それが長期間にわたると徐々に体調を崩していってしまうことがあります。そして、症状として現れたときにはかなり病気が進行していることがあります。したがって、十分な設備投資と正しい知識をもって飼育環境、食餌を用意しなければなりません。
このページでは、ごく一般的なリクガメの飼育例を挙げて説明しますが、各種類の個々の詳細な環境的な条件や食餌に関しては専門書やショップ、専門家、爬虫類に詳しい獣医師などを通じてさらに勉強する必要があるでしょう。




◆リクガメの仲間(ロシアリクガメ、ギリシャリクガメ、ヒョウモンリクガメなど)

・飼育ケージ
リクガメ飼育ケージは、水槽や衣装ケースなどが利用できます。ヌマガメと違い平地をよく動き回るので、高さよりも底面積の広いものを要求されます。飼育スペースの許す限り広めのものを用意し、床材として新聞紙や土などを敷いて飼育します。何も敷かないで飼育すると滑ってしまい四肢に負担をかけてしまいます。床材を用いると、糞尿の処理が容易になり、歩行がしやすくなりまた臆病な個体では床材に潜って落ち着つくことができます。
飼育直後で慣れていない環境下では一カ所でじっとしていたり、ストレスを感じて拒食する個体もいるのでシェルターを設置します。シェルターには木箱をや植木鉢など利用することができます。
照明は、ヌマガメ同様に、中波長紫外線の出る蛍光灯と体温を高めるためのスポットライトを用意します。夏場などは、公園や庭などで日光浴、運動不足を解消させても構いません。くれぐれも熱射病や一方的なスキンシップにならないように注意しなければなりません。

・照明
カメを飼育するうえで照明はとても大切です。照明設備の目的には2つあり、一つは光源して、もう一つは熱源としての役目を果たします。
光源としての照明は、中波長の紫外線が出る蛍光灯を用意します。飼育下では太陽光線の代わりの役目を果たします。太陽光に含まれている紫外線には重要な働きがあります。中波長紫外線はビタミンD3の前駆物質をビタミンD3に合成する過程に関与しています。(下図参照)
このビタミンD3がカメの体内で活性化されるとカルシウムの吸収を促進する作用があります。逆に、中波長紫外線、ビタミンDのどちらかが欠けてしまってもカルシウムの吸収がうまくいかず、丈夫な甲羅や骨を形成できなくなってしまいます。
最近では、爬虫類専用の中波長紫外線の出る蛍光灯が各メーカーから市販されています。爬虫類を扱っているペットショップで購入できます。
もちろん、時間があれば屋外で直接日光浴をさせて構いません。ただし必ず日陰の隠れる場所を作っておき日射病などにならないように気をつけます。
熱源としての照明は、スポットライトと呼ばれ、その光が当たる部分はホットスポットと呼ばれています。スポットライトにはレフ電球や白熱球を用います。

カルシウム吸収と中波長紫外線の関係

皮膚  プロビタミンD3(前駆物質)
         ↓ ←←中波長紫外線(UVB)
      ビタミンD3
         ↓
肝臓   25-OH-D3
         ↓
腎臓    1a-25(OH)2-D3
       (活性ビタミンD3)
         ↓
腸管   カルシウムの吸収を促進


・食餌
ロシアリクガメ、ギリシャリクガメ、ケヅメリクガメは草食性の動物です。野生下では、野草や枯れ草、木の根など植物を主体に食べていますので、飼育下では野菜を中心に与えることになります。キャベツ、レタス、コマツナ、チンゲンサイ、モロヘイヤ、ニンジン、カボチャなどの野菜、オオバコ、タンポポなどの野草などが利用できます。葉野菜を90パーセント以上、それ以外のごく少量のマメ類、イモ類などを与えてもよいでしょう。
これらの野菜は、どれか一種類というわけではなく、数種類の野菜を細かく切って混ぜ合わせ、偏り無く色々な野菜を与えるように心がけます。
草食性のカメに作られた人工飼料も売られていますが、現在の段階では、それのみで十分栄養を摂取ことができる完全栄養食とは言い難いため、あくまでも少量を補助的に与える程度にとどめておき野菜中心の飼養管理を心がけます。

・温度管理
カメは体温を自らの体内で産生すことがほとんどできない外温動物です。したがって飼育下では、カメが健康に活動できるように飼育者側が適切な温度管理をしなければなりません。リクガメの仲間の多くは、暖かい地方に生活しています。一部で冬眠をする種類もいますが、ヌマガメ同様に繁殖などを行わない限りは飼育下では冬眠させないように飼育した方が無難とされています。
温度管理には、底面に敷くプレート状のヒーター、ヒヨコ電球、赤外線ランプなどを用いて通年26~30℃ほどを維持するようにします。またホットスポットによって部分的に32~36℃の高温部分を作ることで、リクガメは自ら移動することで体温を調節します。
極端な温度差はカメの調子を崩してしまうので、サーモスタット(自動温度調節器)を用いて温度管理を行うようにします。
リクガメの中には、ときどき水に浸かることを好むものがいるので、その様な個体には、週に数回、プラスチックケースや洗面所に32~35℃程度のお湯を数センチ張って水浴(一般には温浴とも呼ばれている)を行います。この水浴を行うと飲水を促進したり、排泄を促すなど代謝を高める効果がみられます。

●リクガメの飼育ケージセット例●
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■ 半水棲カメの飼育

ここでいう半水棲カメは、縁日などでよく売られ、通称ミドリガメと呼ばれている、アカミミガメや、日本の池や川に棲息しているクサガメやイシガメのことを指しています。これらカメは、カメ全体の中でも、丈夫で比較的飼育しやすい種類といえます。しかし一方で、不適切な飼育環境では、簡単に病気に陥ってしまいます。
これらのカメを飼育する為には、飼育初期にしっかりと飼育設備をそろえてあげなければいけません。時には、設備投資がカメ本体より上回ってしまう、ということさえあります。決して金魚鉢や洗面器ひとつで安易に飼育できる動物ではないということ知っておかなければなりません。




◆ヌマガメの仲間(アカミミガメ、クサガメ、イシガメなど)

・飼育ケージ
ヌマガメの多くは、生活場所を池や川、沼などで暮らしています。普段は水の中で餌を摂ったり活動していますが、休んだり日光浴をするために陸に上がったりします。したがって、飼育環境も水場と陸場の両方が必要になってきます。
飼育ケージには、水槽や衣装ケースなどを用います。大きさに関しては個体に合わせて大きくしていますが、だいたい甲長の5倍程度の幅のケージが必要とされています。本来、泳ぎは上手な種類のカメですから、水深はおよそ甲羅の厚みの3倍以上になるようにします。水深のある方が立体的に動けるので運動不足の解消にはなります。しかし、水槽などの上部の方まで水を張ってしまうと逃げ出してしまうので蓋を取り付けるなどの対処が必要です。
水換えは、こまめに行うに越したことはありません。濾過器を取り付けても構いませんが、見た目は透明の水でもアンモニアなどの有害物質はろ過されませんので、濾過器を取り付けたとしても、やはり定期的な換水を行います。
ヌマガメは、生活の中心を水中で過ごしますが陸にもよくあがります。自然界でも陸にあがり日光浴をすることで体温や代謝を高めてから活動をはじめます。陸場は、レンガや石を積み上げたり、カメ用の浮島などが市販されているのでこれらをうまく利用するとよいでしょう。

・照明
カメを飼育するうえで照明はとても大切です。照明設備の目的には2つあり、一つは光源して、もう一つは熱源としての役目を果たします。
光源としての照明は、中波長の紫外線が出る蛍光灯を用意します。飼育下では太陽光線の代わりの役目を果たします。太陽光に含まれている紫外線には重要な働きがあります。中波長紫外線はビタミンD3の前駆物質をビタミンD3に合成する過程に関与しています。このビタミンD3がカメの体内で活性化されるとカルシウムの吸収を促進する作用があります。逆に、中波長紫外線、ビタミンDのどちらかが欠けてしまってもカルシウムの吸収がうまくいかず、丈夫な甲羅や骨を形成できなくなってしまいます。
最近では、爬虫類専用の中波長紫外線の出る蛍光灯が各メーカーから市販されています。爬虫類を扱っているペットショップで購入できます。
もちろん、時間があれば屋外で直接日光浴をさせて構いません。ただし必ず日陰の隠れる場所を作っておき日射病などにならないように気をつけます。
熱源としての照明は、スポットライトと呼ばれ、その光が当たる部分はホットスポットと呼ばれています。スポットライトにはレフ電球や白熱球を用います。

・餌
アカミミガメ、クサガメ、イシガメは自然界では、基本的に甲殻類、魚類、昆虫、水草などの様々なものを食べている肉食傾向の強い雑食性のカメです。飼育下でも、魚やエビ、砂肝やハツなどの動物質と少量のコマツナやチンゲンサイなどの野菜をバランスよく与えます。実際には、バランスよく与えるのも大変ですので、ペットショップには良質のヌマガメ専用飼料がペットショップで市販されているので、それらを与えれば健康に育てることが出来るようになっています。
乾燥イトミミズは乾燥したエビは、非常に嗜好性もよく喜んで食べてくれるのですが、それのみではビタミンやミネラルの不足を招くので、あくまでも補助的に与え、良質のペレットを主体に与えましょう。

・温度管理
カメは体温を自らの体内で産生すことがほとんどできない外温動物です。したがって飼育下では、カメが健康に活動できるように飼育者側が適切な温度管理をしなければなりません。
アカミミガメの本来の生息地は北米、クサガメやニホンイシガメは日本です。基本的に、夏は暑く寒い冬がある温帯域に住んでいるカメたちです。これらのカメは、寒くなると冬眠をすることで冬を乗り越えます。夏場は無加温でも飼育できますが、冬場は保温が必要となります。水温は水中ヒーターなど用いて23~26℃くらいになるように設定します。飼育下での冬眠は、リスクを伴うので保温をしてなるべく冬眠させないように飼育した方が結果的によいケースが多いようです。調子が悪いカメや仔ガメを冬眠させると、春先に冬眠からうまく覚めずトラブルを抱えしまうケースが多くみられます。
陸場の温度はスポットライトを使って30℃前後になるようにしておきます。カメはこの場所で甲羅干しを行って体温を高めます。

●半水棲カメのケージセット例●
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■ カメ -総論-

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●カメの分類
ひとくちにカメといっても爬虫類の中のカメ目に分類されている全てのものを指しています。カメ目は大きく分けて、首を水平に折り曲げて甲羅に収める曲頸類と真っ直ぐに甲羅に頭を収める潜頸類に分けられます。
曲頸類は、長い頸部を横側に曲げることによって、甲内に頭頸部を隠します。現在では主に南半球にしか分布していません。
一方、潜頸類は頸椎を縦にS字型に屈曲させ、頭部を甲羅内にまっすぐ引っ込めることができます。私たちが普通、カメといって思い浮かぶのは、こちらの潜頸類だと思います。そんな潜頸類ですが、ウミガメ上科とカミツキガメ上科は頸を引っ込めることはできません。日本に分布しているカメはすべて潜頸類であり、水棲種や陸棲種がみられます。
ペットショップでよく見かける5センチほどのミドリガメと呼ばれているミシシッピアカミミガメ、ゼニガメと呼ばれているクサガメ、ニホンイシガメはヌマガメ科に含まれています。
最近ではリクガメ科のカメが人気急上昇中です。代表的なカメとしてロシアリクガメ、ギリシャリクガメ、ケヅメリクガメ、ヒョウモンリクガメ、ホシガメ、ヘルマンリクガメなどが挙げられ、その飼育者は年々増加しています。

◎カメ目Testudines
          ●曲頸亜目Pleurodira
                     ・ヘビクビガメ科Chelidae
                     ・ヨコクビガメ科Pelomedusidae
          ●潜頸亜目Cryptodrira
                     ・カミツキガメ科Chelydridae
                     ・オオアタマガメ科
                     ・オサガメ科Dermochelyidae
                     ・ウミガメ科Cheloniidae
                     ・ドロガメ科Kinosternidae
                     ・カワガメ科Dermatemydidae
                     ・スッポンモドキ科Carettochelyidae
                     ・スッポン科Trionychidae
                     ・ヌマガメ科Emydidae
                     ・リクガメ科Testudinidae

 
●ペットとしてのカメ
カメは、「鶴は千年、亀は万年」といわれるくらいイヌやネコなどとくらべてもとても長い寿命が特徴です。実際には万年とまではいきませんがアカミミガメで30~40年、リクガメも50~60年ともいわれ、種類によっては、100年以上生きたという報告もあります。このようにカメはとても長寿で飼育すれば長い付き合いになる動物なので最後まで責任を持って飼育に望む必要があります
ペットショップや露天で見かけるアカミミガメは、大きさ(以下、甲長)5センチ前後とかわいい仔ガメですが7~8年すると30センチ近くに成長します。リクガメでは、ロシアリクガメやギリシャリクガメは甲長20~30センチほどですが、ケヅメリクガメやヒョウモンリクガメは最大で60~70センチにも達します。
一般にカメは思っている以上に大きく成長し飼育スペースを必要とします。また、水棲のカメでは水換え行わなければならないこと、リクガメは排泄量が多いこと、また冬場は温度管理をしっかり行わなければならないことなど、実際には他のエキゾチックアニマルに比べても飼育に手間がかかる動物言えるかも知れません。
爬虫類の中でも、「飼育が容易」と言われているカメですが、寿命を全うさせるには十分な知識と理解、末永く付き合っていく心構えと愛情が必要不可欠です。

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