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■ チンチラの病気

実際に生じるチンチラの一般的な疾患の多くは、飼育管理に起因しています。
そのため、病気の予防には日ごろから正しい飼育環境の整備や正しい食餌が必要になります。
チンチラはその野生の中で生き抜く生存機構の一つとして、体調不良の姿をなるべく見せないようにする性質があります。
したがって病院を訪れたときには重篤な状態になっていることも少なくありません。
今回紹介するチンチラの病気は、比較的よく遭遇する疾患やチンチラ特有の病気を中心に紹介します。




■歯の疾患
チンチラの歯は、常生歯で歯根が開放しており一生伸び続けます。だいたい1年に約5~7センチの速さで伸びます。チンチラの歯は黄色いのが正常であり,逆に白い歯はビタミンA欠乏が疑われます。他のげっ歯類と同じように、不正咬合や根尖膿瘍などの歯科疾患も比較的遭遇する機会の多い病気です。歯科疾患は、飼い主さんが症状に気づいて病院を訪れる際には、すでに病状が進行していることが多いです。繊維の少ない食事を与えていることが大きな原因です。物理的な力によって切歯の向きが変わってしまってもこの病気は引き起こされます。

◆不正咬合
【原因】
チンチラの歯科疾患としては不正校合がもっとも多く,切歯(前歯)にも臼歯(奥歯)にも起こります。
臼歯の不正咬合に続いて切歯の過長が現れます。
下顎臼歯は内側に伸長し、舌の動きを制限したり潰瘍を引き起こします。上顎臼歯は外側へ伸長し、頬の粘膜を傷つけます。
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上顎臼歯が外側に伸び、頬粘膜に潰瘍を形成している。
食餌中の繊維質の不足や遺伝的要因が主な原因とされています。また、甘い物を多く与える虫歯(蝕歯)になることもあります。
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切歯の蝕歯。これから不正咬合に移行する。

【症状】
口腔内の違和感、痛みから食欲不振、ヨダレを流すことがみられます。
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不正咬合によりヨダレを流している
また上顎臼歯の歯根が眼裔に向かって伸びるため涙が出るケースもしばしばあります。また下顎臼歯の歯根が下に向かって伸び、下顎骨に凹凸が触知されることもあります。本症が進むにつれて食物を選り好みするようになったり、柔らかいものを好んで食べるようになることもあります。
さらに膿瘍(下に記載あり)といって歯根部が感染を起すことにより膿が溜まり、腫れてくることもあります。

【治療】
切歯であれば、切歯の切断を行い、臼歯に異常が見られる場合では、麻酔をかけ削る必要があります。その後、食物繊維を多く含んだ食餌管理を行います。しかし、その処置を行ったところで、根治は難しく、定期的な口腔内の観察、歯の処置が必要です。



■消化器の疾患
消化器の疾患は、草食性であるウサギと同じくチンチラの病気の中でも、症例数の多い病気の一つです。腸内醗酵を行うため、消化器疾患の多くが給餌の内容や管理に起因します。急激な食事内容の変更や、粗悪な飼料の給餌などに充分注意しなければいけません。
また、ウサギやハムスターでも起こる、不適切な抗生物質の投与による腸性毒素血症にも注意が必要です。

◆鼓腸症
【原因】
急激な食事内容の変更や水分のたくさん含んだ野菜や果物、マメ科植物を多く与えたときに起こしやすいようです、胃内容のうっ滞と細菌叢による発酵によって胃内にガスが異常に貯留することにより生じます。
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胃内にバリウムの停滞がみられ、消化管全体にわたりガスの貯留が見られる。
また胃内のある種の細菌の欠如によってもひきおこされることが知られており、人口哺乳で育った個体や、老齢個体に多くみられます。

【症状】
症状としては、食欲不振、流涎、沈鬱、痛みによって転げ回ったり、背彎姿勢などがみられます。また嘔吐ができないことによって呼吸困難の状態に陥ってしまうこともあります。

【治療】
初期の場合であれば、適度な運動や腹部のマッサージも効果的であるとされています。消化管の運動を促進する薬や流動パラフィン等を経口投与し、胃内容の通過を助けます。
しかし急性で命に関わる状態であれば、胃チューブの挿入や針などで胃から貯留したガスを抜きを行うことがあります。

◆便秘
【原因】
便秘はさまざまな要因によって起きます。チンチラの場合下痢よりもむしろ、この便秘に遭遇するケースが多いようです。食物中の繊維が不足している高エネルギー、高タンパク質の濃厚飼料の給餌が原因となっていることも多いようです。また、ストレスや運動不足が要因となっていることもあります。

【症状】
普段より明らかに糞の量が少なくなります。通常、チンチラの糞は、無臭で大きめの米粒大です。色は褐色か黒で、排泄直後は柔らかく、便秘をしているチンチラでは、糞は固く細く小さくなります。触診では、腹部に硬い糞塊を触診できることもあり、進行すると後肢の不協調または麻痺がみられることがあります。

【治療】
基本的には繊維を増やすという意味で、少量のリンゴ、レタス、人参、タンポポなどを与えます。改善されない場合は、緩下剤を用いたり、流動パラフィン等を経口投与します。また予防的に、毎日の食餌に乾草を多く与え運動量を増やすことも有効です。

◆腸重責・腸捻転
【原因】
これらの病気は他の消化器異常に続発しておこることが多く、盲腸曲での捻転、重責が多くみられます。またそのほかの消化器疾患と同様に、食物中の繊維不足が関与していると思われます。

【症状】
激しい腹痛を呈し、便秘や肛門からの腸管の脱出をみることもあります。元気消失、食欲廃絶を呈して、鼓腸やショックを引き起こし死に至ることもあります。腸重責は腹部の触診によって、重責部分の腸を触知できることがあります。

【治療】
外科的処置、支持療法を的確、迅速に行う必要があります。点滴、鎮痛剤、ステロイド剤の投与を行いますが、予後の悪いことが多いようです。



■皮膚疾患
チンチラの被毛は毛皮になるほど美しく繊細で、一つの毛根から80~100本の細毛が密生しています。また皮脂腺から分泌されるラノリという脂質は被毛に潤いを与え、チンチラが砂浴びを行うことによって、被毛を清潔に保ち、過剰な皮脂を落とします。この被毛は、生息環境の低い気温によって育毛が促されます。感染性の皮膚病では、その生態によるものなのか細菌感染は少なく、糸状菌症が多いことが特徴的です。そのほか、飼育管理に起因するもの、栄養の問題に関連した疾患が多く知られています。

◆皮膚糸状菌症
【原因】
白癬菌(Trichophyton属)、少胞子菌(Microsporum属)の感染によって引き起こされる皮膚病で、幼若な個体や免疫力の低下している個体に発症しやすいといわれています。高温、多湿、不衛生な環境やストレスがなどが発症要因として考えられています。

【症状】
頭部、顔面、鼻や目の周囲、四肢など脱毛、赤斑、フケがみられます。かゆみは伴わないケースが多いようです。

【治療】
抗真菌剤の経口投与を行います。場合によっては、局所的に抗真菌剤の塗布を行います。また砂浴びは、真菌の拡散を助長してしまう恐れがあるため、砂を頻回に取り替えたり、しばらく砂浴びを禁止する場合もあります。
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広範囲の脱毛

◆膿瘍
【原因】
切歯・臼歯の不正咬合は、歯は口の中に向かって伸びるだけでなく、歯の根が上顎や下顎に向かっても伸びてしまいます。反対向きに(下顎骨や目の方に向かって)伸びてしまった歯はそこで感染・炎症を起こし、膿瘍(膿の入った袋)を作ります。
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下顎臼歯の歯根部より感染を起し、膿瘍を形成している

【症状】
膿は時間がたつとチーズ状に固くなってしまうため、見た目には、デキモノのように見えます(写真)。上顎に膿瘍が出来てしまった場合、チーズ状に固くなった膿が眼球を押し出し、出目金のようになってしまうことがあります。

【治療】
治療は、異常な歯を抜くこともありますが、チンチラの顎骨は非常にもろく、抜くときに骨折を起こしやすいことや、犬・猫よりも血管の分布が豊富なために出血が多い、歯を抜いた穴から感染を起こしやすい、痛みから結局食餌がとれないなどの欠点があるため、治療の選択が限られます。 基本的には膿瘍を摘出したり、切開・洗浄と抗生物質の投与を中心とした治療が行われます。
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全身麻酔下で切開し膿を出しているところ。
しかし完治するには長期間に渡ることもあり、また膿の貯留を繰り返してしまうこともあるとても大変な病気です。

◆綿毛(コットンファー)
【原因】
栄養素欠乏症としていくつかの皮膚疾患が知られています。綿毛(コットンファー)と呼ばれる高タンパク食よって引き起こされます。

【症状】
被毛の筋が弱くなり、被毛全体がウェーブがかり綿のような様相を呈します。

【治療】
タンパク質の含有率が15~18%の飼料を与えるようにします。

◆肢端皮膚炎
【原因】
飼育環境の不備(メッシュの固い床、高温、多湿、不衛生な環境)から肉球の損傷がみられ、細菌の感染によって発赤、びらん、潰瘍が続発します。チンチラは主に後肢を使って移動するので、前肢ではあまりみられません。

【症状】
足底部に発赤、びらん、潰瘍などがみられます。その痛みから「はこう」や運動を嫌がるようになります。感染が成立すると、膿瘍を形成したり壊死、骨膜の融解につながってしまうこともあります。

【治療】
抗生物質、局部の消毒、患部の保護、乾燥につとめるようにします。もっとも重要なことは、飼育環境を見直し、発症要因の改善することです。



■熱射病
【原因】
チンチラは涼しい地域に生息しているので、27℃以上の高温、高湿の環境下ではうまく体温を調節することができません。すぐに元気を失ってしまいます。またそれ以上の高温な環境下にすると容易に熱射病に罹患してしまいます。したがって、蒸し暑い部屋に置いたり、直射日光に当たるような場所には置いては決していけません。

【症状】
初期には活動性が鈍り、渇欲が亢進します。症状が悪化すると横たわる姿を見せ浅速呼吸になり呼吸困難、チアノーゼを呈します。

【治療】
空調などを利用して徐々に体温を下げていきます。冷水に入れるとショックを起こすことがあるので注意が必要です。すずしくしてすぐに動物病院へ連れて行きましょう。病院では点滴、ステロイド薬投与など支持療法を行います。
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ジャンル : ペット

テーマ : チンチラ

■ チンチラの飼育管理

●給餌

・主食
チンチラに限らず、飼育する動物に与える餌を考えるときには、まず、その動物が生息地でどのような食べているのか知る必要があります。チンチラの野生の生息地は、アンデス山脈の荒れた土地の植物が少ない地域です。そのような場所で、植物の葉や根、果実、低木の樹皮やサボテンなどえられる植物なら何でも食べていると言われています。そして、そのような植物は決して栄養価に富んだものではありません。しかし、チンチラは栄養価の低い餌で十分に栄養を吸収できるようになっています。したがって、飼育下であまり栄養価の高い餌を与えると肥満気味になったりあらゆる病気の原因にもなります。
チンチラは実験動物にもなっていた動物なのでチンチラ専用のペレットもあります。しかし、一般的には入手が難しいので、ペットショップで選ぶことになります。ペットショップにはチンチラ用と銘打った餌が多く並ぶようになりましたが、全ての製品がチンチラの栄養バランスを研究して作られているとは言い難いので、植物性タンパク16~20%、脂肪2~5%、繊維質15~35%の基準をクリアしている製品を選ぶのが理想的です。

・副食
毎日の給餌はペレットを主食にアルファルファやチモシーなどの乾燥した牧草を与えるようにします。繊維質の多い牧草は、ビタミン、ミネラル、タンパク質のよい供給源となり、また嗜好性も高く、咀嚼回数も増えるので過長歯、不正咬合などの歯牙疾患の予防にもなります。
おやつは基本的に必要ありませんが、チンチラとコミニュケーションを深めたり、スキンシップをはかる際には、有効なこともあります。与えても良いおやつとしては、レーズンや乾燥バナナなどのドライフルーツや、ヒマワリの種やクルミなどの種子類です。ただし、与えすぎは禁物で、1日に一度2~3粒、人の手から与えるようにします。

・与え方
ペレットはチンチラが活動する夕方から夜にかけて与えるようにします。ペレットの給餌は、一日一回で構いません。乾燥した牧草は、床材として敷き、いつでも食べられるようにします。汚れた牧草はすぐに取り替え、いつも清潔にしておきます。
チンチラは、ペレットなど少しだけ食べては残し、それ以降まったく食べなくなることがよく見受けられます。一日に一度は、餌容器に残ったペレットは全て捨てて、新しいものと交換するようにします。新しいものと交換するとよろこんで食べはじめます。ペレットのメーカーを変えるときには、十分注意が必要です。突然すべて今までと違う餌に変えてしまうと、拒食を起こしてしまったり、下痢や便秘になってしまったりします。餌を変える際には、今まで与えていた餌に新しい餌を徐々に混ぜて、その比率を少しずつ変えていくようにします。


●砂浴び

チンチラのもつ美しい毛並みを維持するには、砂浴びが必要不可欠になります。この砂浴びがチンチラを健康的に飼育するうえで重要なポイントの一つになります。チンチラの生息する地域は、とても寒い地方なのでその寒さに耐えるためにとても細く密度の濃い被毛が全身を覆っています。乾燥した空気に対して、被毛に潤いを与えるためにラノリンという分泌物が体表の皮脂腺から分泌されます。自然界では、チンチラは火山灰を使って砂浴びを行い、余分なラノリンを落としています。飼育下で砂浴びをさせずにそのままにしておくと、被毛のツヤを失うだけでなく、毛玉ができベタベタになってしまい、皮膚病の原因にもなります。
砂浴びに用いる砂は、ハムスターや猫の砂では代用できません。とても細かな密度の濃い被毛のためには、砂もとても細かいパウダー状のものを使う必要があります。砂浴びは、可能であれば毎日行わせます。パウダー状の砂は、深さのある梅酒のビンや専用の容器に3~5センチほど敷いてケージの中に入れます。砂浴びの容器は、一日中入れっぱなしにしておくのではなく、夕方から夜にかけての活動する時間帯に30分ほどケージの中に入れます。あまり長い間入れっぱなしにしておくと、必要以上に砂浴びを行ってしまい、油分であるラノリンが落ちすぎるため、乾燥肌になったり、宙に舞った砂は結膜炎などを起こしやすくなります。砂浴びの容器を入れるとすぐにチンチラは、砂浴びを行います。容器の中で、糞や尿をしてしまうこともあるので、ふるいなどにかけていつも清潔にしておきます。


●温度管理

野生のチンチラはとても寒い地方に生息しています。したがってチンチラにとって湿度の高い蒸し暑い日本の夏はたいへん身体に堪えます。チンチラを飼育するにあたり、飼育環境の適温は17~23℃ぐらいです。25℃以上になると動きが緩慢になり、30℃を越えるとぐったりとして熱射病に陥り死亡してしまいます。理想の湿度は30~40%で夏場の湿度の高いムッとするような部屋に置いては絶対にいけません。
北海道や標高の高い地域では、エアコンなどは必要ありませんが、夏場30℃を越えるような地域ではエアコンなどの設備も必要となってきます。エアコンは、部屋の温度を下げるだけでなく、湿度も下げる効果があるのでチンチラにとってはとても快適な環境になります。チンチラのためにどうしてもエアコンが用意できない方は、少しでも室温の低い部屋に置き、扇風機や除湿器をかけるなどして風通しをよくします。また、凍らせたペットボトルや大きさのあるアイスノンをタオルでくるんだものをケージの近くに置くのも有効です。
また、冬場はそれなりの寒さに対する対策も必要となってきます。いくら寒い土地に生活しているからと言っても、自然下では、暖かい場所に積極的に移動したり、集団で暮らしているので仲間同士で暖め合ったりすることもできます。しかし家庭での飼育環境はそのようなこともなかなか難しいですし、敢えて冬場に過酷な環境を用意する必要もありません。冬になって15℃以下に下がるようであれば、何らかの保温対策も考えなければありません。夏場と同じくエアコンでの管理が一番安全で確実ですが、ペット用のパネルヒーターをケージ内に敷いても保温可能です。しかし、コード類はかじってしまい危険なので、かじっても大丈夫な対策をしなければいけません。


●しつけ

動物とコミニュケーションをはかろうと思たっとき、一番考えなければならないことは相手の気持ちを考えることです。イヌやネコと違ってエキゾチックアニマルのそのほとんどは、家畜化された動物ではないので人間の身勝手なつき合い方では、一方的に恐怖心を植えつけてしまうことになります。
チンチラは、やや臆病な性格を持っている半面、好奇心が旺盛で人間が怖いという意識さえ与えなければとても人なつっこくかわいらしい仕草を見せてくれます。チンチラの中には、抱かれても大人しくしている個体もいますが、本来は抱いたり撫でたりしてスキンシップをはかるような動物ではありません。しかし、なにか調子を崩したりして身体検査を行いたいときや、病院へ連れていくときなどどうしても触れなければならないこともあるので、人間に対して信頼感をもった個体にしつけておくことは決して悪いことではありません。
はじめはレーズンなどの好物を使ってケージ越しに手から与えるようにします。そのときに声をかけてから与えるようにすると驚きません。ケージ越しに手から食べるようになれば、ケージを開けて与えるようにしたり、徐々に接している時間を長くしていきます。人間に対して恐怖感を持たなければ、少しずつ優しく顎の下や耳の後ろを撫でていきます。焦らずチンチラを脅かすことのないようにゆっくりと馴らさせていくことが大切です。

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テーマ : チンチラ

■ チンチラの飼育

チンチラの飼育を考える上で一番ヒントになるのが、野生下での生活を考える事です。 チンチラは山の斜面や岩の多い地帯に生息し、日々を岩の間を飛び回って生活しています。 そのずんぐりした体型からは想像もつかないくらいのジャンプ力を持っており、自分の何倍もの高さのある所へ軽く飛び上がることが出来ます。さらに湿度や気温が低い地帯に暮らしています。それらのことを考えて、ケージのタイプや環境を整えていく必要があります。



・ケージ
立体活動を得意とする動物なので、高さのあるケージがより好ましいです。飼育する頭数によっても変わりますが、最低、幅高さ60cm、奥行き45cmは必要です。いうまでもなく広いに越したことはありません。高さのあるケージを用いて、その間に何段かの棚を設けて登ったり飛び跳ねたり出来るようにセットします。
猫用やフェレット用の大型のケージを流用する飼い主さんも多いようです。 大型のペットショップへ行けば、最近ではチンチラ専用のケージも売られています。
ケージはメッシュタイプを用いますが、あまりメッシュの目が粗いと足を挟んだりして事故につながるのでなるべく細かいものを選びます。床のスノコもまたトラブルの原因になるので、通常は取り外して牧草などの床材を敷くようにします。

・巣箱
野生下では、昼間は岩穴に潜んで休んでいるので、それをイメージしてケージ内にも木製の巣箱を設置するようにします。すっぽり身を隠れる場所がないと、ストレスを受けやすく自咬症などの行動を引き起こしてしまうことがあります。大きさの目安としては、30×20×20センチほどで、一方に直径8~10センチ位の出入り口である穴を開けておきます。ペットショップで探せばいくつかチンチラに合った巣箱が見つけられます。巣箱はそれぞれのプライベートな場となるので、複数頭飼育する場合は、それに合わせた数だけ用意するのが理想的です。木製の巣箱や棚板は囓られてすぐにボロボロになってしまうので、消耗品と考えたほうがよいでしょう。

・トイレ
チンチラは1カ所で糞をすることはほとんどありません。大抵は決めずにあちらこちらにしてしまいます。砂浴びの習慣をもつチンチラは、尿で汚れた砂の上でも砂浴びをしてしまうので、トイレを設置する意味があまりなくなってしまいます。幸いチンチラの糞尿はほとんど臭いを発することがないので、汚れたら床材を取り替えるという方法で問題なく飼育することが出来ます。

・水入れ
水入れはケージの側面に取り付けるボトルタイプの給水器を用いるのが一般的です。水を入れた皿などでは、こぼしてしまい湿度が上がってしまったり、不衛生になるので避けたほうがよいでしょう。チンチラは、ものを噛むことが大好きな動物なので、給水ボトルの飲み口はステンレスで出来た囓られても平気な丈夫な素材のものを選びます。また給水ボトルは、ノズル部分に空気が入っているといつまで経ってもボタボタと水が垂れるので、設置したらノズルの先のボールを指でつついて空気抜きをしておきます。

・餌入れ
チンチラは夜になると活発に動き回るので、重さのあるしっかりとした餌入れを用いるようにします。ケージの側面からスタンドを付け、ステンレスの器を取り付けたり、陶器で出来た重さのあるものが使いやすいでしょう。ケージに付属として付いてくるプラスチック製の器は、囓られてボロボロになってしまうし、異物の誤食の原因になるので避けた方がよいでしょう。

・砂浴び容器、砂浴び用砂
チンチラを飼育するうえで必要不可欠なものが、砂浴びをさせることです。砂浴び用の容器は市販のものを用いたり、梅酒を漬けるビンのようなものを代用します。砂浴びに用いる砂は、細かなものを用いなければいけません。今ではチンチラ専用のパウダー状の砂が数種類市販されています。また、園芸用の鉢底石として売られているゼオライトという鉱物をコーヒーミルなどで細かく粉砕して用いてもよいでしょう。

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 棚板・・・立体活動をするので、高い位置に設置します。
 ケージ・・・充分な高さを持つメッシュタイプが使いやすいでしょう。
 木の枝・・・かじることで、ストレス発散や歯の磨耗を期待できます。
 巣箱・・・隠れたり休むために必ず必要です。
 給水器・・・かじり壊してしまうため丈夫なものを。
 床材・・・新鮮な乾草などが適しているでしょう。
 餌入れ・・・ ひっくり返せない重めのものや、ケージに取り付けられるものを用意しましょう。




チンチラを飼育するうえで、健康で長生きしてもらうためには他のげっ歯類と比べてちょっとしたポイントようなものが必要です。正しい飼育管理を行えば20年近くも生きる動物ですので、しっかりと飼育の要点を勉強しましょう。

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テーマ : チンチラ

■ チンチラ -総論-

●チンチラの分類と生態
チンチラは、げっ歯目のチンチラ科に属しており、ヌートリアやモルモットなどと近縁げっ歯目の仲間です。一口にチンチラと言っても、外見や生息環境の違いから3種類(Chinchilla lanigera, Chinchilla brevicaudata, Chinchilla costina )が知られています。分類する学者によって、それらをそれぞれ独立種として扱ったり、単に亜種レベルの違いでしかないという意見もあります。その3種類のうち、ペットとして飼育されているチンチラのほとんどはLanigera種といわれています。
チンチラは、南アメリカのペルー、ボリビア、チリ、アルゼンチンにまたがるアンデス山脈の標高4500メートルまでの寒冷な高地に分布しています。生息地の年間平均気温は2℃と涼しく、湿度もとても低い地帯で、岩場の多い荒れた土地に集団で社会生活を行っています。チンチラは主に夜行性で、昼間は岩の割れ目の中で休み、夜になるとその岩と岩の間をピョンピョンと跳ね移動をして餌を探します。このような生息場所はとても痩せた土地なので、低木の根や樹皮、皮、枯れ草やサボテンなどのとても栄養価の低い餌を食べて暮らしています。水分にも乏しく、岩棚に溜まった水や夜露で濡れた水滴を飲んで暮らしています。
 
●チンチラの歴史とそのルーツ
チンチラは、そのような寒冷な過酷な生息環境に適応するため、一番の特徴である美しく厚い被毛を持つようになりました。そして、この美しい被毛を人間の生活の中ではじめて用いたのは先住民族であるインディオの人々でした。とても寒い地域で生活するインディオの人々は、防寒の為に保温効果の高いチンチラの毛皮を主にコートや衣服として用いていました。そして1500年代に入り、ヨーローッパ人は、この地がスペインによって制圧されるようになったときインディオたちが身につけているこの美しいチンチラの毛皮に目を付けました。そして美しいチンチラの毛皮をヨーロッパへ持ち帰ったところ、たちまち王族に珍重されたことから、捕獲が始まってしまいました。チンチラの被毛を用いた毛皮のコートを作るために乱獲を続け、1900年代初頭には一時的に絶滅に追いやられることがありました。
しかしながら現在、野生のチンチラは、絶滅の恐れのある野生生物の国際取引に関する条約(ワシントン条約)の中でもっとも厳しいランクである付属書?にリストアップされ、学術目的以外の国際間の取引は禁止されています。その甲斐あって、国ぐるみの保護によって野生下のチンチラは徐々にその数を増やしています。私たちが日頃、ペットショップで見かけるチンチラは野生個体のものではなく、飼育下で繁殖されたものなのでワシントン条約付属書?の対象にはなっていません。 ペットとしての最初のチンチラ飼育は、1918年にチリで鉱山技師として働いていたM. チャップリンという男が、インディオから1頭のチンチラを譲り受けたことに始まったといわれています。
チャップリンはチンチラに魅了され、1923年に3年がかりで集めたチンチラ11頭をアメリカ合衆国へ持ち帰ることに成功しました。その後になってチンチラの繁殖に成功し、その11頭が元親となって世界各地へ輸出されることになりました。我が国へはじめて導入されたのは愛玩を目的として1961年のことと言われています。その後の1970年 代から実験動物として利用されるようになったり、毛皮獣として繁殖が試みられたこともありました。しかし現在日本では獣皮毛目的での養殖などは行われていません。
 
●ペットとしてのチンチラ
チンチラは他のげっ歯類と同様に野生下ではワシやキツネや他の肉食動物に捕食される被捕食動物であることから、用心深く、驚きやすい動物です。しかし一方で好奇心が強く、きれい好きで臭いもほとんどなく、また大きさも手頃なことから都会派のペットと言えます。幼い頃からうまく慣らすことで、人にとてもなつくようになります。チンチラが一般のペットショップで見かけるようになったのは、つい最近で1990年代に入ってからです。まだその当時は、とても高価な動物であるうえに飼育に関する情報が少なく、また餌の面や飼育に必要な周辺器具が少なかったことから、単にかわいい、珍しいという理由で飼った方は最終的に残念な結果になってしまったことも多いようです。
最近では、チンチラに関する書籍やインターネットの情報も多くなり、飼い主さんたちの認識もかなり変化してきたようです。しかし一方でまだまだ誤解を受けることが多い動物なのも確かです。チンチラはその特殊な生息環境からペットとして飼育するには他のげっ歯類と比べてちょっとしたポイントようなものが必要です。独特の生態や習性も多く、特に夏場はエアコンで温度や湿度を管理するなど、いろいろ気を使わなくてはなりません。
それらを理解したうえで飼育しないといずれは病気にしてしまうことになります。
 
●チンチラの品種
野生のチンチラは、アグーチと呼ばれる明るいグレーを基調としています。
基本的にはグレー一色のチンチラですが、ペットの品種としてのチンチラは、突然変異の色彩を交配させたり、ある色に着目してそれらの世代を重ねることにより固定化したもがあります。普通、ペットショップでは、グレー、ベージュ、ブラックベルベット、ホワイト、エボニー、バイオレットなどと呼ばれる品種のチンチラがいます。エボニーやバイオレットなどはまだまだ数が少なくグレーのノーマルタイプと比べるとまだまだ高価です。
これらの違った品種同士を繁殖させると、ノーマルグレーのほか遺伝的突然変異である様々な色のチンチラが生まれてくることがあります。しかし、ホワイトやブラックベルベットの遺伝子を持った個体同士の繁殖は致死的遺伝子を含む組み合わせもあるので、あまりするべきではないかもしれません。
チンチラは日本ではまだそれほ多くないペットのひとつですがアメリカやカナダではとても人気がるペットで、毎年、国内各地で毛並みの美しさや体型を競うショー(品評会)が行われているそうです。
数ある品種の中で、どの個体をを選ぶのは、その人の好みや第一印象などで決まってくるでしょう。色によって性格が違ったりすることはほとんどないようです。

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■ チンチラ -はじめに-


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みなさんであれば、チンチラというとまずはじめにネコのチンチラを思い出すことでしょう。
あのふわふわとした毛を持った猫のことですが、げっ歯類のチンチラも同じように美しい毛並みと黒目がちの瞳をもったとてもかわいらしい動物です。
見た目も行動もエキゾチックな雰囲気の漂うこの小動物は、犬猫は好きだけどエキゾチックはちょっとと思う方も、このチンチラだけは飼育してみたいと思う方も少なくないようです。

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